2011年5月21日土曜日

【中国株ストラテジー2011年】後半堅調で消費関連、金融、不動産に注目=大和総研

 大和総研投資調査部グローバル?ストラテジー課副部長シニアストラテジスト(アジア)の由井濱宏一氏に中国株を中心にしたアジアの株式市場見通しを聞いた。由井濱氏は、2011年の中国株式市場は、年前半は冴えない展開を予想するが、年後半に活発になると考えている。「中国中間層の所得の拡大によって、中国の消費関連企業が通期で注目される。年後半には金融、不動産に買いが向かおう」という。

――2011年の中国本土株価の見通しは? 

 11年1?4月頃までは厳しいと思う。第1から第2四半期の初めくらいまでは方向感がない展開で下向きになる可能性が高い。ひとつは、金融政策の方向が転換され、利上げが表面化している。CPIは、2010年11月が5.1%上昇だった。おそらく11月がピークだとは思っているが、劇的にインフレ率が下がっていくようにも思えない。マーケットは金融引き締めの懸念を引きずる。

 たとえば、2007年のときのように成長率が高いときには、インフレ率が8.7%でも打ち消してあまりある成長があって、株価も上昇したが、今回は、そのような勢いは出てこないだろう。中国はハードランディングを避けたいので不動産規制などを入れつつ、金融を緩やかに引き締めるだろうが、株価が当時ほど上がる可能性は低いとみている。

 ただ、第2四半期 Perfect World rmt
中から、中国株価は復調すると見ている。たとえば、中国のGDP成長率は、2010年第3?第4四半期に減速したので、そこと比較すると、来年後半は前年比での成長率が押し上げられる。

 また、2011年は中国の指導者の交代を決める共産党大会の前年にあたる。90年以降は、4回経験しているが、共産党大会の前年は、新政策への期待が出てくるため、おおむね株式市場は強い。これに、米国、韓国、台湾などでも大統領選挙の前年にあたることで新政権や成長戦略の見直しへの期待が膨らむ。2011年は世界的に政権交代前夜というような状況になる。

 中国政府のジレンマは、人民元の引き上げの問題でホットマネーが入りやすくなっている。これが、国内の過剰流動性を刺激して、インフレを促すことにつながっている。政府としては輸入物価を抑えるために、人民元を高めに誘導したいのだが、そうすることによって、外からのお金が入りやすくなって、インフレにつながるというジレンマがある。この為替の政策は難しい。現実的には、緩やかに高め誘導をしていって、ある程度のホットマネーの流入を許容していくのではないか。不動産の投機が抑えられているため、それが株式に向かいやすい。これが出てくれば、前半も意外に強いかもしれない。

――注目セクターは? 

 年前半はディフェンシブ系が強く、中でも消費セクター
は強いと思う。小売、耐久財、非耐久財のところは年間を通じて高いと思う。中国の人件費は上がっていく方向で、最低賃金が上昇し、消費の裾野が拡大していく。民間消費の拡大は政府の政策の上でも大命題なので、政策にも適っている。

 年後半は、金融、不動産が良いパフォーマンスを上げるのではないか。金融引き締め懸念は第2四半期中まで続くとみられるが、その後第3?第4四半期に出尽くし感、打ち止め感が出てくるのではないか。そうなると、金利敏感な金融株が買われやすい。

 不動産は、各種の規制によって価格が「前年比」で下がってきているが、「前月比」では強いので、不動産規制を止めるような政策転換は当面は考えにくい。この需要の強さは、実需もある程度反映している。不動産規制強化は、投機資金の抑制をめざすものだが、実際に住宅がほしいという国民のニーズは強いので不動産価格は下がりにくい。特に若い人たちが年収の5倍?10倍くらいの物件を買いたがっている。これが、不動産セクターにはプラスに働くと考えている。

――アジアの市場は? 

 香港は面白い。香港は中国の一部だが、今のところ資本市場は分断されている。とはいっても、香港市場にはH株という中国の国有企業を中心に、金融、不動産の大手企業が上場している。そこで、後背地としての中国の恩恵をもっとも受けやすいのは香港であるということには変わりがな
い。

 香港も調整が避けられないが、内需で下支え効果。本土からの観光が活発。2009年は小売売上高の30%程度を中国本土からの消費が占めたが、2010年は更に拡大するだろう。中国の富裕層を中心に、人民元の切り上げによって購買力が高まっている。これが、香港の成長を下支えしよう。香港の化粧品、衣料品、宝飾品関係が好調だろう。

 香港市場のリスクは、アメリカの景気が予想外に早く回復し、出口戦略としての利上げが議論されるような状況になることだろう。米国の金融引き締めは、香港の不動産市況に影響が及ぶだろう。

 一方で、台湾はアンダーウエイトにしている。台湾は中国との間で自由貿易協定を結んだので、台湾から中国本土で人民元ビジネスが広がって、中期的な成長期待は強いが、2011年を考えると、台湾はマーケットの半分がハイテクなので、第2四半期まで厳しい状況が続くだろう。

 また、シンガポールは、中国とは少し離れ、アセアンやインドの成長の恩恵を受ける点で注目している。シンガポールはアセアンの成長率に対する感応度が一番高い。市場規模が比較的小さいので、強気にはなりきれないが、手堅い市場といえる。ただ、不動産価格は史上最高値を更新しているので、きつめの不動産規制が出てくるかもしれないという点は注意が必要だ。(編集担当:風間浩)

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引用元:アラド rmt

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